一般質問答弁報告③『越市長の消費税増税要望発言』

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こんにちは!
大津市議会議員 藤井哲也 です。


いよいよ国会でも消費税増税をめぐる議論が大詰めです。しかし様々な問題があると私は思います。


【消費税増税をめぐる問題1】
消費税にしろ所得税にしろ、法人税にしろ、税金とは社会でのお金の再分配の仕組みだと思います。その観点に立てば、取り立てた税金をそのまま国民に還元すれば、プラスマイナス0でいいのかもしれません。
しかしながら、この国には取り立てた税金を中間搾取する人、団体がたくさんいます。
一番わかりやすいのは、公務員の天下り団体であったり、公務員そのものであったりします。公務員も一国民なので消費活動に回してくれればそれはそれで国民への還元なのかもしれません。ただ、公務員の消費性向(どれくらいお金を消費に使い、どれくらいを貯蓄に回すか)は、国民平均よりも低いとされます。取り立てたお金を公務員にばらまいても、それは最終的には公務員の貯金や資産形成に回る傾向が強いと言えます。
そもそも、民主党はマニフェストに「公務員の人件費2割カット」を掲げていましたが、その公約はどこにいったのでしょうか。2年間限定で国家公務員の給与を7%ちょっとカットするとしただけで終わっています。

【消費税増税をめぐる問題2】
そもそも今 国会で議論になっているのは「社会保障をどうするのか?」ありきで、その財源として「増税」が議論されてきたものと認識します。これを一体議論しようとするのが「社会保障と税の一体改革」だったと思います。
この改革は私も必要と思います。社会保障の一つ、年金はこのままいけば立ち行かなくなるのは確実で、この時期に議論すべき最優先課題と思います。また景気対策の観点からも、いわゆる「非ケインズ効果」として「将来不安が払しょくされる」ことによって、消費が増加させる可能性があるとされています。
確かに、消費税増税を実施するにしても、そこには一定の合理性があると考えられます。つまり、「非ケインズ効果」が、消費税増税による景気減退効果を上回るのであれば、消費税増税は景気悪化を伴わないと言えます。
しかし今 民主党、自民党らが進めようとしているのは、消費税増税によって得られる新たな財源を社会保障に使うかどうか、その使い道を「国民会議」に棚上げしようしていることです。
すなわち、「社会保障と税の一体改革」ではなく、「単なる消費税増税」です。
増税分12兆5千億円の国民からの血税を、将来の社会保障安定のために用いなければ、将来の社会保障への不安(老後は貯金なしで生きていけるのか?という不安)は払しょくされず、国民は消費税増税によって減った可処分所得の中から、更に貯蓄に回さざるを得ず、結果、消費活動は減退し、企業利益は圧迫され、雇用減から更なる社会保障費の増大を招くだけになります。

【消費税増税をめぐる問題3】
デフレ下で消費税増税をすれば、トータル税収は減少すると言われています。
すなわち、消費税増税による12.5兆円の安定財源ばかりに目をやるあまり、所得税や法人税といった税収が減り、トータル税収としては減ってしまう恐れがあるとされています。
よく言われるのが、1997年に消費税が3%から5%に増税されて以降、国税収入が一度も1997年水準を超えていないとされているものです。


(昭和60年以降のトータル国税収入の推移)


消費税増税は、安定財源とされています。つまり景気にあまり左右されないのです。これは確かにその通りで、1997年以降、景気は上がり下がりがあったにも関わらずほぼ一定して12兆~13兆円でした。
しかしながら、問題としては、消費税増税による可処分所得の減少による消費減退、また消費税増税前の駆け込み需要の反動による増税後の大幅な景気の落ち込みが問題としてあります。
1997年は消費税増税直後に、アジア通貨危機と山一証券や拓銀の破たんといった金融不安が生じ、大きく設備投資が減り、企業の経済活動が停滞することとなりました。正に、そうしたことがデフレスパイラルの発端の重要な要素となりました。

また、ノーベル経済学賞を受賞した、プリンストン大学教授のポール・クルーグマン氏は、

不景気である只中に増税を行えばデフレ・スパイラルを加速させると述べ、消費増税は財政拡張(雇用増を目的とした歳出の拡大)を行った後ですべきであると主張している。クルーグマンは、1998年の景気の落ち込みのきっかけは前年の消費増税にあったとみているが、経済が良い状態になったときに消費増税することには賛成している。
また「2014年に8%、2015年に10%の消費税引き上げはタイミングが悪すぎる。いずれ上げなければいけないが、この時期に消費税を上げたら、消費が落ち込み、経済が悪化することは目に見えている。他国でショックが起きたときにはかなりきつく影響が波及する」「世界中の先進国の国債・借金問題は経済が成長すればそれを返すことができる。イギリスがかつて成長していた時代に大量の借金を抱えていたという事実を誰も語ろうとしない。成長のための政策が今求められている」と述べている

(以上、wikipedeiaより抜粋)

という立場です。
そのほか、イェール大学の浜田宏一教授によれば、デフレ下での増税は、逆U字型のラッファー曲線による税収減を招く恐れがあると述べています。
つまり、デフレ下では、「消費税増税による増収額」<「消費税増税による消費減退によるその他税収の減収額」だとするものです。




今回の大津市議会の私の質問では、越直美市長が本年2月に大津市内で開催された、衆院予算委員会地方公聴会で、消費税増税が必要とし、増税を国に要望した件について、それは間違っているのではないかとの立場で質問にたったものです。
「越直美 大津市長 消費税増税を必要とする衆院予算委公聴会での発言」はこちら

大津市では、1997年の増税後、市民税と地方消費税分交付金がどのように推移しているのか、調べてみました。





消費税増税後、最初の1、2年こそ「市税+地方消費税交付金」を足した税収は微増しています。
しかし1998年は前年度対比で、市税は96億円減り、99年度は更にそこから35億円減っています。
消費税増税効果は、たった2年で解消され、3年目(2000年度)からは「市税+地方消費税交付金」を足した税収は、1997年度比で減少(▲5億6千万円)しています。

今回の質問では、消費税増税が与える大津市税収への影響を聞いたものでした。


大津市からの答弁としては、
1 消費税増税が与える本市への影響は、消費動向や経済情勢により見通しをつけるのは困難である。(総務部長答弁)
2 1997年の消費税アップ後、大津市では1、2年間はトータル税収が増えているので、なぜ議員(私)がこのグラフを出してきたのか理解できない。(越市長答弁)


とするものでした。
理解できないのは、私から言えば、越市長ですね。
(単に私が市長の真意を理解できていないだけなのかもしれませんが。聞く限りそうではありません)


まず、消費税増税による影響が予測困難なものならば、トータルの税収が減る恐れもあるはずで、なぜ 越市長は衆院予算委公聴会という国の政策形成における非常に重要な場で、地方公共団体の長として消費税増税を必要としたのでしょうか?理解不能です。
まさか消費税増税分 約32億円 がそのまま税収純増として入ってくると思っているのでしょうか?

また、97年の増税後1、2年間は、「市税+地方消費税交付金」が増税前の税収額を上回っているからといって、それを以って、増収効果があるとするのは、それくらいの短絡的な理解しかできないのかと残念になります。
タイミングの悪い「消費税増税」が、景気・経済に悪影響を与え、この間(98年~03年)、国の名目・実質成長率はマイナス成長となり、デフレを招いたことを否定できるものではありません。



まあ、いろいろとありますが、最終的には消費税アップに対するスタンスの違いなのかなと感じています。
越市長は税収アップを期待して消費税増税に賛成で、私はデフレ下での消費税アップは税収アップを期待できないという立場から反対です。

結びに一言だけ申し上げるならば、この時期の消費税増税の実施は、弱っている日本経済の息の根を止めかねない政策であり、絶対反対だということです。




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