9月一般質問『いじめ・自殺に関する調査委員会について』

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こんにちは。
大津市議会議員(滋賀県)の藤井哲也 です。

今回の議会での一般質問原稿(PDF)をアップしますので、ご興味ある方はご覧下さいませ。
一般質問原稿(PDF)


さて、今回の一般質問で私が最も時間を割いたのが、『いじめ・自殺に関する調査委員会について』であります。60分の持ち時間のうち、およそここだけで20分程度使いました。

質問の趣旨としては、今回の要綱設置による調査委員会方式は違法ではないか、なぜ地方自治法に規定されている「附属機関」でなぜ設置しなかったのか?ということです。
また現状の要綱設置の委員会の問題点を以下指摘しました。

【理由1】調査委員会の実態は「附属機関」そのものである。
今回の第三者調査委は、設置要綱を確認しても、その実態を見ても実際は「附属機関」そのものと言えるのではないか。
例えば、調査対象者は行政内部の人間だけではなく、市民も含まれていることから、市役所内部だけのことを調査するものではなく、市民に一定の負担を強いるものです。また委員の互選により委員長が選ばれ、調査や提言を市長に行うものであり、外部有識者による第三者調査委としていることなどが挙げられます。

【理由2】市長が私的に要綱によって設置したとも言える調査委で被告の立場の市長の意向を排除できるのか。
そもそも、今回の裁判においてご遺族から訴えられ被告の立場である市長が、私的に要綱によって設置したともいえる調査委員会で、市長の意向を排除した客観的な調査は、できないのではないかと考えます。
現に「自殺の原因にいじめがあったんだと思う。和解を前提に調査をする」という発言があったり、「学校内だけの事柄について調査する」という考えなど、市長の意向がかなり盛り込まれているように思われます。

【理由3】コンプライアンス推進の精神から外れるのではないか。
今回の調査委員会は、「附属機関」として設置することに特に大きな支障があったとは思えません。しかしながら、市長は今回、要綱設置の委員会方式を選択しました。
また、コンプライアンス推進室を事務局としています。申すまでもなく法令順守の精神を市役所内に徹底しようとする市長の強い意思により設置された部署であり、今回の調査委員会の事務局もここに置かれているならば尚更、要綱ではなく、条例に則った調査委員会にすべきではないかと思います。


また、附属機関として設置するには、「第三者調査委員会」設置を説明する8月の総務常任委員会では、市長がイニシアチヴを持って取り組みたい調査であり、地方自治法202条の「附属機関」として設置するには、教育委員会の事務事項であり、その部分については、「市長が担任する事項ではない」という回答を得ていたので、以下の案も提示させて頂きました。


【附属機関として設置するための法解釈の提案-1】
いわゆる「コンプライアンス推進条例」では、公正な職務の執行に関して教育委員会もその適用範囲に含んでいることを以って、市長部局のコンプライアンス推進室が、教育委員会の調査もできるという考えからすれば、同様の趣旨で市長部局の附属機関として設置することも可能なのではないか?

【附属機関として設置するための法解釈の提案-2】
「総合調整を図るための教育委員会を含む公共団体への指揮監督権」を用いれば、たとえ教育委員会が所管する担任事務であっても市長部局の附属機関において必要な調査の協力や考察、そして委員会からの提言を受けることができると考えられないか?

【附属機関として設置するための法解釈の提案-3】
すでに係争中の案件であり、総務部が担当する部署であることから、市長部局の附属機関として教育委員会への調査協力及び委員による考察ができるのではないでしょうか。

【附属機関として設置するための法解釈の提案-4】
もしそうした選択肢のいずれもがダメというのであれば、私としては今回の調査委員会は、致し方ありませんが「教育委員会の附属機関」として設置する方が法的リスクの点からも妥当であると感じるところです。確かに市長が教育委員会を信用できないというのはこれまでの経緯を見ても、重々理解できますが、地方公共団体の長として、きちんと教育委員会をマネジメントできる立場にあるわけであります。それでも尚 教育委員会は情報を隠し操作するという疑念を持つならば、市長自らのマネジメント力の不足を言っているのと等しいように聞こえます。


上記の問題点について問い質しましたが、総務部長からの答弁では「市長の担任する事項」ではないので、市長部局に附属機関として委員会を設置することはできないとされており、市民の権利の制約や義務を課すこともなく、臨時的な委員会であるという理由で要綱設置の委員会の正当性を述べられました。
また、附属機関にするための提案についても、これに関する答弁はありませんでした。

これまでの判例や住民監査請求においても、今回のようなケースでは、違法とする判決や監査意見が出されており、私の所見では大津市の今回の調査委員会も違法である可能性が極めて高いと感じております。
昨日、本日の報道でも明らかになってきていますが、大阪府市統合本部の要綱設置の委員会も、違法性があるということで条例設置の委員会に切り替えることになっています。

いじめの実態調査や教育委員会の問題点の考察についてはぜひとも進めて頂きたいのはヤマヤマですが、違法であっても良いかとなるとそれは別問題です。
ですので現状のまま、たとえば附属機関へ切り替えるなどの対応がなされないのであれば、今回の補正予算には反対せざるをえないと感じております。
参考資料(PDF)


市長には、しっかりと法を守って頂きたいと感じております。




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