「大津市ごみ処理施設整備検討報告書」のズサンな内容③

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おはようございます。
大津市議会議員、藤井哲也です。

大型連休も終わり、本日から通常の業務です。
次の連休は8月のお盆休みになると思います。それまでに夏の参議院議員選挙もありますし、市議会6月定例会議もあります。気合いを入れ直しがんばります。


「大津市ごみ処理施設整備検討報告書」のズサンな内容①
「大津市ごみ処理施設整備検討報告書」のズサンな内容②
の続編です。


これまで、大津市が行ったズサンな検討業務について取り上げてきました。
市長はいかにも90億円コスト削減できたと胸を張って言っていますが、実は前提条件を自分の都合がいいように捻じ曲げて市民をだまそうとしています。
これに異を唱えようとしない議会も議会だとは思いますが、市長の検討はあまりにもヒドイと思います。

このごみ焼却場の見直しについては、大津市民が出したゴミの安定処理に大いに不安を残すことになります。
その頃、いまの越市長はすでに市長ではなくなっているでしょうから、問題が起きた時、責任を取るのはその時の市長になりますが、市民の皆さんには、越市長がこの処理体制を決定したことを、脳裏に焼き付けておいて頂きたいと念じます。

ゴミ処理の広域協定を他都市と結ぶといっていますが、滋賀県内の他自治体の焼却施設には既に、何か問題が起きた時の大津市のごみを受け入れるキャパシティ(容量)はありません。他府県に行けば、若干余裕があるかもしれませんが、例えば京都市が大津市のごみを数カ月にわたって受け入れてくれるかといえば疑問です。


そうした問題点を解消する一つの案が、私が2月議会で提案した、「2か所5焼却炉体制」です。
しかし当初の、㈱アーシン(コンサル会社)のネームが入った検討業務の中間報告書によると、1施設あたり2焼却炉のみ検討し、3焼却炉については全く眼中に入っていませんでした。
議会での質問による答弁でも、そもそも検討する必要性がないということでしたが、実はこの案は、環境問題に相当詳しい、組織内部といっても過言ではない方に教えて頂いた案なので、検討の余地は十分にあることを承知の上で質問したものです。

確かに3か所(北部、中部、南部)であれば、コスト的にかなり高くなるでしょう。
私もそれはさすがに必要ないと思います。
しかし、4焼却炉体制では、万一1焼却炉がトラブルを起こした場合、360トン÷4=90トンが処理できず、溜まっていく恐れが生じます。
これを5焼却炉(つまり、3焼却炉+2焼却炉)にすることで、トラブルを起こした場合でも、360トン÷5=72トンに抑えることができますし、定期的なメンテナンスも十分に行うことができ、結果的に焼却炉の修繕費も下げられ、また長寿命化につながると考えられます。

こうしたメリットに必要なコストは、市の「最終検討報告書」によると以下の通りです。(p58参照)


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4焼却炉体制 : 353億3200万円
 (内訳) 建設費125億3100万円×2か所
      修繕費 51億3500万円×2か所

5焼却炉体制 : 365億5200万円
 (内訳) 建設費125億3100万円+133億9600万円
      修繕費 51億3500万円+ 54億9000万円

その差は、12億2000万円です。
20年間で割ると1年間の増加コストは6100万円。

確かにこの案は、年間で言うと6100万円、4焼却炉体制よりも高くなるでしょう。
しかしながら、それを補って余りある安定処理ができます。

最初からこの案を検討の中に入れていないというのは信じられません。
それならばなぜ、ケース①(北部のみ1施設体制)、ケース②(中部のみ1施設体制)、ケース③(南部のみ1施設体制)を検討ケースに入れているのでしょうか。(p19参照)

加えて言うならば、「報告書」p19には、以下のように記載しています。


施設構成の設定
 ごみ処理施設設計要領では、焼却炉の数は原則として2炉または3炉となっている。これは、焼却設備のメンテナンスやトラブル等による運転停止時においても、安定的な焼却処理を行うためである。
 本検討では、処理施設の安定稼働、安定処理を考慮して、1施設体制においては3炉構成とし、2、3施設体制においては2炉構成(それぞれ、合計4炉、⑥炉)とした。



上段では3炉体制も検討対象になると言っておきながら、下段ではなぜか3炉体制は除外するものとしています。
私は一般質問においては、他自治体の事例や、ごみ処理施設設計要領等の国が定める基準等も入念に調査した上で質問しているので、見当違いな質問ではないはずです。


見当違いな検討業務をしているのは大津市であり、北部だけとか中部だけとか、理解不能なケースを検討するかわりに、大事な3焼却炉体制は、最初から検討する価値なしとして検討していない。ズサン以外のなにものでもありません。

消息筋によると、「2施設でも3施設でも問題ない」とする案があがったそうですが、市長が「2施設でないとだめだ」として突き返した話が聞こえてきます。その真偽は分かりませんが、私としては信頼できるからの情報なので、それに近い話があったのだろうと思っています。



以上、私なりに3回に分けて書いてきました。
もはや2施設4焼却炉(北部2、中部2)で方針決定してしまったからには、最善の策を講じて頂くしか道はありません。
しかし思うのは、こうした問題こそ外部委員による「第3者検討委員会」を設置し、検討すべきだったということです。

将来の大津市民の方に迷惑がかかる場合は、私にも力及ばず回避できなかったこともあり、責任の一端があると思います。
今後、私なりに少しでも問題を解決していけるように、できることを考えてまいります。



大津市議会議員 藤井哲也拝




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