平成25年11月議会一般質問③「大津市の産業振興について」

ホームブログ>平成25年11月議会一般質問③「大津市の産業振興について」



おはようございます。
滋賀県大津市議会議員、藤井哲也です。

本日11月議会が閉会します。
市民の皆様の顔をイメージし責任ある判断をいたします。

少し遅れ気味になっている一般質問について報告を進めていきます。
今回は「大津市の産業振興について」です。


平成24年度の大津市会計決算では、収支がかなり悪くなりました。
簡単に申し上げると、「自由に使えるお金(可処分所得)」が急に減ったという問題です。

なぜそうした事態に陥ったのでしょうか?
一番の原因は、「法人税収入が大きく落ち込んだ」ということです。

経済停滞はここ数年ずっと続いておりましたが、大津市内においては大型リストラがあり、また既存の企業においても製品開発とリリースの中間期にあたるため、大きな利益を出せなかった時期でもありました。

今回の一般質問においては、少し専門的な話になりますが、
【1】「付加価値額」をいかに大津市内で増やしていくのか?
   → 小規模投資に対する助成制度・税制優遇措置を設け、付加価値額増大を図るべきではないか?
【2】「経済波及効果」を考え、費用対効果を考えた政策を推進するために市独自開発ツールの活用範囲を広げるべきではないか?
【3】「産業振興基本計画」を策定し、中長期ビジョンにたった産業振興策を講じるべきでは?
を趣旨とする質問を行いました。


付加価値額については以下に説明を加えさせて頂きます。

hukakachi
(「付加価値額」を説明するための議場配布資料)


つまり、営業利益や人件費といった地域に還元される「付加価値」をどれだけ出しているのかが、地域経済に与える影響を論じるうえで重要であり、この「付加価値額」をベースに経済対策を論じていく必要があります。

現在、大津市においては東レを筆頭に、日本電気硝子やルネサス関西などが大手企業として法人税収入に貢献して下さっています。しかし昨年来、ルネサス関西をめぐってはリストラが実行されるなど非常に厳しい事態となっており、その動向を注視しているところですが、特定の大手企業に法人税収入が左右される状況は徐々にでも改善をしていく必要性があります。
三重県では、シャープ亀山工場の設置に大規模な助成金を拠出されましたが、日本にとっても大変残念なことに数年で撤退される事態となりました。この教訓を生かし、本年度から三重県では、小規模な投資を累積してカウントし5年間で一定額の投資にいたったケースに助成金を出す仕組みに変更されました。いわゆる「マイレージ制度」と名付けておられます。
今回の一般質問においては、付加価値額を安定的に増大させていくためにはこの取り組みを見習い、大津市においても「大津市 産業振興・企業育成マイレージ制度」の導入検討を促しました。

答弁としては、現在国において各種助成金が用意されており、そちらを活用するようにしていくということで前向きなモノではありませんでしたが、現在の国の潤沢な助成金制度は自民党政権に変わったことによるご祝儀制度であり、また消費税増税による投資及び消費減退を抑制する一時的な措置にすぎません。
今から「マイレージ制度」導入を検討して遅いとは思いませんので、ぜひ大津市には真剣に検討をして頂きたいと念じています。
【参考】三重県のマイレージ制度


また、効果的な産業振興政策をうつためには、現在のように行き当たりばったりの政策の寄せ集めではダメで、産業振興基本計画なりでしっかりと中長期的ビジョンを確定させたうえで、付加価値額を増大させていく効果的な施策をとっていかねばなりません。
それではどのように効果測定を行うのが良いか?

滋賀県では「経済波及効果分析ツール」が一般的にリリースされています。
【参考】「滋賀県経済波及効果分析の手引き」(PDF)

hakyukoka
(「経済波及効果分析システム」を説明するための議場配布資料)


この滋賀県版のものを大津市に活用すればよいのではないかと思われるかもしれませんが、問題は「経済波及」の範囲が滋賀県域となっていることです。

しかしながら、実は先の9月議会で明らかになったのですが、大津市も「大津市域への経済波及を前提とした独自の分析システム」を開発しています。
現在は、企業立地促進助成金の効果測定に限定して使われているのですが、私が見知りする限り、これは他の政策にも汎用利用が可能です。
逆に政策ごとに汎用利用ができない理由があれば明確に教えてもらいたいと考えるくらいです。
確かに「測定システムのメンテナンスが大変」と言う問題があったり、「経済波及効果を大津市域に限って測定できるのか」という問題点があるのは分かりますが、それを言い始めるとそもそもの企業立地促進助成金の経済波及効果も出せないことになります。

答弁としては、「企業立地促進助成金に限定したものであり、他の分野での活用については研究していきたい」とする旨のものでした。
自分としても今後調査研究を重ね、ぜひ大津の経済活性化の為にも、活用して頂けるように働きかけていきたいと思っています。


その他、中小企業振興をいま一歩進めていくために「産業振興基本計画」策定とあわせ、「中小企業活性化推進条例」の制定も促しました。
市の答弁は従来通り、後ろ向きだったと理解します。
大津市も数人は真剣に産業振興について考えている職員がいますが、市長を含めまだまだ本腰ではないと考えています。何よりも市長がマニフェストで掲げた「平成24年度中の中小企業振ビジョン策定」は期限切れの現在も、なかなか中身さえ見えてきません。もっと市長がリーダーシップを発揮し、中小企業振興を含む「産業振興」全体について意識を持ち、取り組みを進めるべきだと考えます。

議員は執行権がないので提案しかできません。本当にもどかしい思いです。
私がその立場だったらもっと真剣に取り組むのですが。


大津市議会議員 藤井哲也拝

▲ページのトップへ