一般質問解説②「シビックプライドの醸成と都市ブランディングについて」(前篇)

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こんばんは。本日から平成25年度大津市会計の決算が実質的に審議(審査+議決)入りしました。
分科会に分かれて審査してまいります。私は施設分科会所属ですので、建設部や都市計画部、上下水道及び市ガスを所管する企業局などの会計を担当します。

今議会の一般質問では3つの質問をいたしましたが、その中で最も力を入れたのが今回の「シビックプライドの醸成と都市ブランディング」です。前篇後編に分けて書きたいと思います。


【2問目:「シビックプライドの醸成」と「都市ブランディング」について】

○質問背景
大津市では若者世代の市外転出が転入を上回る転出超過が起こっています。
これまで人口が増えてきたのはこの若者世代が転入超過であったことが大きな要因でした。
特に一昨年(2013年)からこの傾向が強まっており、昨年(2014年)ついに人口が減少に転じました。
人口が減少するのは日本全体に言えることでありますが、大津市の場合は当初計画よりも6年も前倒しで人口減少に転じ、しかも社会保障制度や市税収入の多くを支える若者世代・現役世代が減少に転じたことによって、今後は財政状況が悪化することが十分に考えられます。
一般的に高齢世代(65歳以上)が1人増えることによる財政負担は、大津市の場合20万円強増えるとされており、逆に現役世代が1人増えることによる税収増加額は10万円弱とされています。団塊世代が一挙に後期高齢者(75歳以上)となる2025年をまたいで扶助費は高まることが確実な中、できる限り若者人口の減少を食い止めなければ、地域医療や健康増進政策のための財源枯渇につながりかねません。若者が減ることで高齢者が生きづらい社会になってしまいます。
今回は人口減少、なかでも社会増減に注目して、その問題を取り上げ、対策を提案しました。
※関連記事として、2015.9.15のブログ記事もご覧下さいませ。

○「シビック・プライド(civic pride)」について
「郷土愛」や「地元愛」に近い考えで、「その地域に住んでいることに誇りを感じること」を言います。
このシビックプライドが高まることで、「定住志向」が向上するとされており、近年 多くの自治体で注目されている考え方です。また地域アイデンティティを高め、地域の魅力(ブランド力)を高めていこうとする取り組みとは親和性が高く、都市ブランディングに市民と行政が手を携えて協働で取り組むことが、シビックプライドを高め、ひいては定住志向を高めていくことに繋がっていきます。

○「都市ブランディング」について
他の都市にはない、その地域の独自性を高め、選ばれるまちへ差別化を図る一連の取り組みを言います。
金太郎飴のような町では利便性が低下したり、愛着を感じられなくなればすぐに転居して去ってしまうかもしれません。そのまちがどのようなまちかを差別化できるように定義することで、「このまちが好きだ」という人が増えていきます。(逆に「そのまちのブランドコンセプト」に共感できない人は離れる可能性もあります。)
うどん県とした香川県などが都市ブランディングの成功事例として有名ですが、中核市では宇都宮市や富山市、大津市近郊の市町では草津市や湖南市などが先駆的な取り組みをしています。

○大津市への質問
大津市への愛着や誇りを市民や外部者が感じていただくためのツールとして、「広報おおつ」やホームページなどが挙げられます。ホームページはその特性として拡張性が高いことから市民のシビック・プライドを高めていくために改善の余地が大きいと感じています。
先に取り上げました都市ブランド戦略の先進地においては、専用サイト、宇都宮であれば「宮カフェ」、横の草津であれば草津シティーセールス、滋賀県であれば「MUSUBU滋賀」などを設けて、都市の魅力を内外に広報する活動を行っていますが、本市では残念ながらそうした取り組みは見られません。
なぜそうした取り組みを行わないのか、今後する予定であるならば、どのようなコンセプトのもと行おうとするのかをお伺いします。

○大津市からの回答(政策調整部長答弁)
大津市では現在「広報おおつ」、市公式ホームページ、観光ホームページ、市公式フェイスブック、ご当地愛フェイスブック大津どんなど、多様な媒体を活用して大津市の魅力発見や意識向上にも資するよう、観光やまちづくり、市民活動、まちの話題や注目の人、イベントなどの面から情報発信に努めてきております。
現在都市ブランド戦略として専用サイトを設けることは考えておりませんが、市民の皆様と共に、まちの魅力や資源を生かし、誇りに感じる意識やまちの質を高めていく過程が自治体としてのブランディングであると考えることから、次期総合計画の策定等も契機としてこれらを進める中で深めてまいりたいと考えております。
以上でございます。

○大津市への再質問
愛着、誇りを持つための広報媒体について、さまざま取り上げていただきました。
しかしながら現状、各広報媒体で発信してる情報がさまざまであって、結局そのブランドイメージといいますか、大津市のまちとして伝えたいことがすごく拡散してしまっていると思っております。
現在、市がやってる広報全体の中で、都市ブランドや、シビック・プライドを高めていくような仕組みになっていないと、私は感じております。 次期総合計画を進めていく中で検討していくということでありますけれども、もう少し前向きな方向性を示していただければと思います。

○大津市からの再回答(政策調整部長答弁)
もとより、議員が2月の議会よりおっしゃっていただいているブランディングについては、決して否定するものではなく、大切なものだとも考えております。
そういう中でのお話でございますが、ブランディングといいますのは、ブランドをつくり上げ、市内外に発信し定着させていく一連の活動、そういった経緯を含むものだというふうに認識しております。
その中で、原点としましては、市民の皆様とともにまちや地域の価値を見出し、大津への愛着や誇りを育むことだと認識をいたしております。
そういうところで、自治体ブランディングは行政だけで進めることはできず、市民の皆様とともにブランドイメージや意識の統合化を図り、というところが非常に大切だろうと。
次期総合計画の策定の中で市民の方々と意見を交わして、こういった一連の取り組みを進めていく、こういった一連の経緯が大変重要であり、そのことが自治体のブランディング活動を増していくことだと考えておりますので、そのような中で、ただいま行っております広報活動も含めて、御理解を賜ればというふうに思っております。




そもそも大津市がいう「都市ブランディング」は、「次期総合計画策定過程での市民との意見交換を含む、まちを誇りに思う意識作りなど」と捉えています。これはオーソドックスな考え方で私の考えとも一致するので問題ありませんが、問題なのは、
①「そこから先の具体的な都市ブランディングを通じたシビックプライドを高める取り組み」が不透明(というか、現在ほぼ何もやっていないこと)いうこと
②統一したブランドイメージを固めずにやみくもに各部局や関係団体が情報発信していること
 です。

また回答では、「広報活動も含めてご理解を賜れば」と述べておられますが、正直なところ意味がわかりません・・・。答えているようで答えていないんですね、この回答は。


結局のところ、現在の大津市の「都市ブランディング」の現状は、次期総合計画策定期間を言い訳にした、「検討期間」だということです。確たるブランドコンセプトの確立や、具体的な展開策は時間を稼いで来年度中に考えていこうということなのでしょう。

これまでもそうでしたが、議員が提案した良い事業について、「やります!」となかなか言わないのが、現在の越市長です。
結果的に、数か月から一年経ってから議員提案による事業を開始する際にも、「自分(越市長)のリーダーシップで開始しました!」という感じで進めています。いじめ防止対策やコミュニティスクールなども、あたかも自分が発案したような言い方をしています。自分の手柄にしたいからだと思うのですが、はっきり言ってセコイですね。こういうところが人柄はよくとも、組織リーダーとしての人望がない要素なのかもしれません。
私としては「やります!」という回答が頂けないことは残念に思いますが、いずれ提案事業が実施されると確信していますので、総合計画策定を理由にした検討期間中は、その経緯を注目していこうと思います。

大津市議会議員 藤井哲也拝





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