一般質問解説③「シビックプライドの醸成と都市ブランディングについて」(後篇)

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おはようございます。昨日は決算常任委施設分科会の1日目が開催され副委員長として審議へ参加しました。2日間の審議をまとめ、後日あらためて記事にしたいと思います。
さて前篇後篇に分けて書いている一般質問2項目について引き続き、意見を交えながら解説をしていきます。


【2問目:「シビックプライドの醸成」と「都市ブランディング」について】

○大津市への質問
条例などに基づいて、人と人との繋がりを強めて、誰もが愛着と誇りを持ち、住み続けたくなる大津を築くという目的のために、現在大津市では、三者協働の取り組みが条例、計画に基づいて行われております。
そこで、これまでの取り組みがどれくらい市民の愛着と誇りを醸成してきたのかを伺うとともに、現在の課題と今後の方向性についてをお伺いいたします。

○大津市からの回答(市民部長答弁)
協働によるまちづくりにより愛着と誇りを持って住み続けたくなるまち大津を実現できるよう、市民公益活動や協働の取り組みのための支援策など、基本的な方針を定めた大津市協働推進計画を平成24年3月に策定しております。
その施策の中で、地域における諸問題について、市民、市民団体及び事業者がその解決策を市に提案し、それぞれが対等の立場でともに施策をつくり上げ活動していくテーマ型提案事業や、まちの活性化や主体的なまちづくり活動を支援するパワーアップ市民活動応援事業を実施しております。
この事業により、地域の課題に対して当事者意識を持ち、主体的にまちづくりに取り組まれ、愛着と誇りを持って住み続けたくなるまち大津になるよう継続的に事業展開されている団体がございます。
また、大津市「結の湖都」協働のまちづくり推進条例第14条の規定に基づき、協働によるまちづくりの推進を実効性あるものにするため、行動委員、市民公益活動団体、事業者並びに学識経験者等から組織する大津市協働を進める三者委員会(通称「三者委員会」)を設置しております。
平成23年7月から平成27年7月まで計31回の委員会を開催して、第1期では、大津市協働推進計画の策定や、協働のまちづくりハンドブック作成を行い、第2期では、今まで市民活動やまちづくりに参画する機会の少なかった市民のまちづくりへの入り口づくりについて検討し、当事者意識を持った主体的な参画や、より一層協働の意識醸成が図られるための考察が行われてきました。
こうした考察を踏まえ、今後はまちづくりへの関わり方を多様化することで多くの市民が積極的にまちづくりに参加することができ、協働の意識醸成の促進や、市民一人ひとりがまちづくりの当事者となり、自分たちの住むまちに対して愛着と誇りを持つことにつながっていくものと考えております。



シビックプライドの醸成は、行政が単独で動いても効果はほぼありません。市民ひとりひとりが「大津市民だ」という当事者意識を持ち、「大津のをまちに誇りを感じてもらえるように、まちづくりに参画し、情報発信を行っていこう」という思わなければなりません。
大津市では「三者協働」、つまり市民と事業者と行政が三位一体となって街づくりに取り組むことが条例で定められており、行政計画に則り進められています。
しかしながら、これまでの取り組みが十分であったかと言えばそうではありません。それは、三者委員会をを含め行政内部での協議にとどまっていることが多く、実際には一般市民を巻き込んだアクションが不十分だと思っています。

お隣の京都市は古くから「100人委員会」という市民参画型のまちづくり制度を設け、市民が主体性を持つ協働事業を進めています。大津市の三者委員会も先進的である京都府福知山市の事例を調査しにいかれたようですが、今後は「ワールドカフェ」や「オープンスペーステクノロジー(OST)」などの形式による、市民主役の事業が今後もっと動いていかねばならないと思います。大津市の課題です。


○大津市への質問
各課や各種団体などがまちのブランドコンセプト、もしくは大津市民のシビック・プライドの拠りどころを共有せず、個々に事業展開を行ったとしても、これまでどおりの展開が十分に予想され、定住対策や観光振興対策も他都市に遅れをとるのは必定となってくると思います。
確かに大津市のように幾つかの「まちのコア(都市核)」を持つ自治体においては、「一つの大津市」という都市ブランドに包括することは一定の反発や障害も予想されますが、成果を上げている自治体の多くも大津市同様にいくつもの都市核を持っていたり、市町村合併によって市内にいくつもの観光協会や商工団体が存在するなど、課題を抱えています。

そうしたまちのケースでは、「都市ブランド」と「地域ブランド」をそれぞれ設定し、相互に整合性を図るなどして、いずれも首長の決断と強いリーダーシップにより課題克服をしてこられました。
視察に伺った先々で担当者が口を一つに述べる言葉がありました。「市長のリーダーシップで物事が動き出した」という言葉でありました。
ついては、大津市においても市長の強力なリーダーシップのもと、政策調整部が所管する「(仮称)びわ湖大津ブランド推進プロジェクト」を各種団体とともに立ち上げ、また、優れたブランディング・ディレクターを招聘し、大津市民が大津にますます誇りと愛着を持てるようなメッセージづくりを行い、市民と各種団体、行政とが一体となった体系的な都市ブランディングを図っていくべきだと考えます。

○大津市からの回答(市長答弁)
「びわ湖大津ブランド推進プロジェクト」の立ち上げを行うことは考えておりませんが、自治体として、また地域として、議員のおっしゃるブランディングという取り組みを意識してまちづくりを推進していきたいと考えております。
具体的には、総合計画の策定について、これまで大学生による「おおつ未来まちづくり学生会議」や、外国人や女性の方による意見交換会、無作為に選んだ市民の方に参加いただいた「おおつ夢カフェ」などを行い、大津市の将来像や大津市のよさについてお話をお聞きするとともに、今後は総合計画策定に係る地域別懇談会等も予定しており、そのような機会において市民の皆様の御意見をお聞きしたり、意見交換をする中で、大津市のまちの価値やまちへの愛着などについて深めていきたいと考えております。



10年に一度の「大津市総合計画」を策定する過程で、市民の皆さんの声を聞くのは当たり前で(私は市民を交えた「策定委員会」を設置せず、単に「懇話会」などで済まそうとしていることに大きな問題があると考えています。)、そうした場を活かして、大津市のまちの価値や愛着を深めていこうとするのも当たり前だと思います。

私が提案しているのは、大津市が考えているようなものではなく、「ブランディング活動を推進する協議会」を、市民や各種団体と構成し、市民が主役となる形で進めていくべきだとしています。


大津市の言い分27年10月

藤井の提案27年10月


市民が主役となって「まちへの愛着を深める取り組み」を行うためには、利害や多様な考えをとりまとめるための協議会が必要であり、そうした母体を創設するためには市長の強いリーダーシップが必要だと考えています。
そうしたブランド推進母体を創らずに、総合計画を策定していく過程で地域別懇談会などを開催し意見交換をする中で、大津のブランド作りを進めていくということですが、いったいどのように進めていくつもりなのでしょうか。
大津市がやりたいことが、正直イメージすることができません。
皆さんはできますか??

ブランディングの重要性を認識してもらっていること自体はまぁ嬉しいのですが、残念ながら市長が現状のまま、総合計画策定を逃げ口にして、リーダーシップを発揮せず、大津市域のブランド創造・推進に対して具体的なビジョンを描かないというのであれば、独自に動いていくしかないと考えています。
このままでは大津市は取り残されてしまいます。市長は危機感を抱かないのでしょうか。ここ数年で若者が大津を去り始め(2014年度から人口の転出超過)、大津市の衰退が始っているのに。

大津市議会議員 藤井哲也拝






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