越市政4年間の総括(3)~財政構造改革~

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越市政4年間の総括3回目は「財政構造改革」についてです。

地方行政に携わってもうすぐ5年を迎えようとしています。
財政問題は理解を深めることが大変難しく未だにどのように捉えるべきか悩むこともあります。一つには会社経営と同じように、借金(負債)だけではなく、資産をどのように考えるべきかという点。二つ目は仮に財政負担が重たくなってもある程度、国が交付金でまかなってくれるため税収を増やしたり、税外収入を増やしたりするという意味がどこまであるのかという点、そして実質的に国が負担してくれるはずの「臨時財政対策債」という名称の借金について果たして本当に国は将来交付金を増額で出してくれるのかという問題。

見かけ上は大津市は38年間黒字経営をしていますが、そもそも普通の自治体経営をやっている中で赤字になることが異常です。黒字経営の中で、どのように財政構造を安定化させることができるのか、それが安定した市民サービスの提供につながるものだと考えています。

そうしたことから、私としては、
① 年度途中に急な財政支出が出るような体質でないかどうか
② 今後10年間で財政支出が極端にかさむような時期が出ないか
③ 隠れた負債(または資産)がないかどうか

という点を見るようにしています。

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まず「年度途中に急な財政支出が出るような体質でないかどうか」という視点ですが、5段階評価で「3」をつけたいと思います。
そもそも大津市の財政はかなり安定的であり、市税収入においても景気がよくなれば法人税収入が増えることはありますが、感覚的には30億~40億円程度の振れ幅があるように感じています。一般財政規模が最近では1000億円を越え、1100億円近くになっているので、全体でいえば景気変動による収入の波は3~4%程度でしょうか。
この4年間で大きな変化があったとするならば、それは「ごみ処理施設の規模縮小」です。これまでは北部2炉、中部2炉、南部1炉という3か所5炉体制だったものが、越市長により2か所4炉体制(北部2炉、中部2炉)に変更となった点です。主な変更理由は長期的な財政支出の軽減を図るためということで、市の算出では30年間で100億円前後の経費節減につながったということです。(そもそもこの算出は恣意性が高く疑義があります。詳細は以前の記事をご覧下さい。
ごみ処理施設の規模を縮小したことによって生じた問題は、仮に炉が故障した場合、ごみ処理を他都市にお願いしなければならなくなることです。実はすでにこうした事態は生じており、三重県伊賀市など受入れして頂いた処理施設へのごみ搬送費などで15億円程度の経費がかかっています。財政改革の面で、計算上は100億円程度の削減効果があったかもしれませんが、故障リスクを考慮すると、財政の急な支出要因にもなりかねません。正直なところプラスにもマイナスにも評価できないと考えてます。

次に、「今後10年間で財政支出が極端にかさむような時期が出ないか」については、5段階評価で「3」を付けたいと思います。
一番は「大津市役所本庁舎の建替え方針」が定まっていないことが大きく影響します。
中学校給食の開始方針が示されたことから、平成30年前後に瀬田地域に東部学校給食調理場の建設がなされると思います。また環境美化センターの建替えも同時期になされ、少し遅れて北部クリーンセンターの建設もなされます。
できれば一時の財政支出増大は避けたいところですが、旧志賀町との合併による特別な債権(=合併特例債)を発行できる期限が間近に迫ってきており、私は耐震性に問題があることから、いずれは老朽化による庁舎建替えをしないといけないのであれば、合併特例債を活用して、いま本庁舎を建替えに着手すべきと考えます。
いずれにせよ本日現在、市長は「本庁舎の建替え」について、なんら方針を示していません。そのため、財政に与える影響という観点から評価がしづらいのですが、「決断をしない」ということについては、政治家として決断力がないという評価をせざるを得ません。選挙後、仮に当選してから、方針を示すのでしょうか。私は選挙前に市長候補の考え方を知りたいと思います。

最後に、「隠れた負債(または資産)がないかどうか」についてですが、これは5段階評価で「3」を付けたいと思います。
同僚議員の谷議員らの指摘により、大津市土地開発公社が平成25年に解散しました。大きな含み損を抱えていた公社の解散により一般会計にはそれなりの影響がありましたが、隠れ負債がなくなった点では良かったと思います。また病院事業会計でも減価償却をしていなかったことが分かり、私自身の指摘もあって改善されたのですがこれも一時的には一般会計に悪影響がありましたが中長期的にはよい判断だったと思います。
半面、問題なのは、競輪場跡地の活用が宙に浮いていることです。大津市のど真ん中の好立地にも関わらず、この4年間議論はほぼ進まず、検討のための検討、そして時間稼ぎの調査が行われています。隠れた資産でもあり負債でもありますが、そうしたものを活用しきれていない点は大変大きな課題だと思います。


このように考えると、「財政構造改革分野」の私の評価は、評価が難しい政策分野ではありますが平均して「3」となりました。

大津市議会議員 藤井哲也拝






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