【9月議会 質問解説④】観光振興課に関する問題について(後編)

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 前編(観光振興課のずさんな組織体質)に続いて、後編は観光プロデューサーの偽装出向の疑いについてです。


質問:藤井哲也議員 
 観光プロデューサーの偽装出向契約の疑いについて。
 先の6月通常会議に観光プロデューサーの募集選考プロセスについて質問をした中でプロポーザルによる事業者募集や人材募集ではなく、あえて出向契約とした点や募集選考過程のいくつかの点は私はいまだ疑問が払拭されていません。
 また、市長給与を超える高額な出向負担金1,200万円は檜垣観光プロデューサーともつながりがある「株式会社スターナビゲーションアソシエイツ」の1,200万円と、「株式会社地域のチカラ」1,296万円の2件の見積もりに基づいて予算化されました。2社の見積額が消費税を含む含まないという差はあるものの、いずれも1,200万円に値段を合わせて提出されてきた点も非常に不思議でありますが、今回は取り上げないこととします。
 新たに疑問を呈したいのは、偽装出向の疑いについてであります。契約上は出向ではありますが、実態は労働者供給事業ではないかという疑惑であり、仮にそうであれば職業安定法第44条や労働基準法第6条に違反する契約行為であります。

 わかりやすく図を用いて説明します。

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 出向契約の場合、出向者の人件費と法定福利費や業務遂行に要する経費以外に利益など上乗せして労務提供することは禁じられています。
 ここに書いていますように、出向者の人件費であったりとか法定福利費、出向に要する経費、これらが認められる経費、またそれ以外の例えば事務所費であったりとか、こういったものについては負担金としては認められない、一般的に認められないというふうな見解でございますけれども、公文書を確認したところ今年度のローカルルーツからのものは経費内容が明らかとなっておらず、不正に利益が上乗せされている可能性が否定できません。
 ついては、出向負担金1,200万円のうち給与や法定福利費その他経費などの内訳を明らかにされたい。御答弁をお願いいたします。

答弁:山田崇産業観光部長
 今回の出向につきましては、観光分野における民間企業等での職務経験やネットワークを生かして専門的な知見をもとに観光施策を推進する人材を募集したものであります。このことは厚生労働省の労働者派遣事業関係業務取扱要領において経営指導、技術指導の実施を目的とした在籍出向に該当し、「業」ではないことから職業安定法第44条の労働者供給事業に該当せず違法性がないことを確認しております。
 さらに、出向経費内訳の確認の必要性について顧問弁護士に相談したところ、在籍出向の場合はその明細を要求しないとの回答を得ております。

再質問:藤井哲也議員
 在籍出向の場合は確認しないというふうなことでありますけれども、私は非常に問題あるなと思っています。
 あらかじめ労働者教育事業について、一般的に分かりにくいと思いますので説明をしますと、人間の売り買いがもともと禁じられているというのは当たり前なんですけれども、そういった中で職業安定法であったりとか労働者派遣法、こういったもので例外的に労務提供が認められているというふうなことがあります。その中で、在籍出向も4要件と言われますけれども、このうちの中であれば認められるというふうなことが言われています。そういった中で、顧問弁護士に相談されたというふうなことではありますけれども、私も関係機関に確認をとらさせていただきまして、それは必要あるというふうなことで伺っています。

 例えばですけれども、観光プロデューサーに支払われているお金がローカルルーツから例えば600万円払われている、大津市からローカルルーツに1,200万円払われているということだったら600万円の収支差額(利益)が出るわけですが、こういった場合においては合理的な説明がなされなければいけない、それを確認するために内訳が明らかにされなければならない。
 今の見解でしたら、そういったことも必要ないというふうなことでありますけれども、私は違うと思います。
 また、出向の経費の内訳でありますけれども、そもそも「負担金」という名目です。ですので、何を負担するのですか。例えば向こう側、ローカルルーツの人件費こんだけですよ、経費こんだけですよに対しての「負担金」だと思うんですけれども、それを超えて税金を原資とするお金を支払っている可能性が出てまいります。これ地方財政法の趣旨からしましても、「必要でかつ最小限度の支出であるべき」という見解からも、私は外れるというふうに考えております。
 以上のところから、やはり内訳は必ず市民に対して出されなければ説明責任を果たされていないというふうに考えますので、その点内訳を明らかにされたいと思います。

再答弁:山田産業観光部長

 御質問にお答えをいたします。これにつきましては、労働供給者事業というものを捉まえる必要があると思います。具体的に申しますと、先ほど申しました労働者派遣事業関係業務取扱要領に記載されている文章をちょっと抜粋して説明させていただきますと、いわゆる出向は出向元事業主と何らかの関係を保ちながら出向先事業主との間において新たな雇用契約関係に基づき相当期間継続的に勤務する形態であると、在籍出向については出向元事業主との間に雇用関係があるだけではなく、出向元事業主と出向先事業主との間の出向契約により出向労働者を出向先事業主に雇用させることを約していることから、まず労働派遣には該当しないということでございます。
 また、在籍型出向は労働者派遣に該当するのではないが、その在籍型出向が「業」として行われることにより職業安定法44条に禁止される労働者供給事業に該当するようなケースが生ずる、通常経営指導、技術指導の実施は社会通念上として行われると判断し得るものは少ないというようなことでございます。そういったことから、我々は労働者供給事業に該当せず「業」としては行っていないので利益については関知をしていないということでございます。

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 残念ながらここで時間オーバーでした。少し議論がかみ合っていないです。
 再質問の仕方がまずかったのか、または産業観光部長が質問の趣旨を理解していないのか、もしくは理解していたとしても敢えて時間切れを狙い的外れな答弁を行ったのか・・

 質問の趣旨は、出向元(株式会社LOCAL ROOTS)が出向者(檜垣敏氏)に対して支払っている人件費や法定福利費などの総額を超えて、大津市が出向元(株式会社LOCAL ROOTS)に「負担金」を支払っていないか?という問題です。

 このことは大津市が観光プロデューサーを募集したときの「募集要項」にも記載されている問題であり、「経費内訳を出さなくてもいい(明細を要求しなくてもいい)」という以前に、行政が株式会社LOCAL ROOTSに対して当たり前に確認をしなければならない問題です。
 追加でいえば顧問弁護士が言っていることも的外れです。『株式会社LOCAL ROOTSは、「業」として檜垣敏氏の出向を行っているわけではないから、経費内訳を要求しない』と言っていますが、民間であればそれで問題ないかもしれませんが、ここは行政です。「税金原資の支出がはたして必要最小限度で済んでいるのか」を要求しなくてもいいというのは論外です。法的に問題なかったとしても、アカウンタビリティ(市民・議会への説明責任)の観点から行政が果たなければならない問題です。所詮、市の御用弁護士だなという感想です。
 ちなみにこの顧問弁護士にも直接、「なぜ明細を要求しなくてもいい」のか法的観点から知りたく思ったので、顧問弁護士が所属する法律事務所へ連絡を取ったところ、「先生(顧問弁護士)は携帯電話を持っていないので連絡がつかない。」「これ以上話すことはない。」とガチャ切りされてしまいました・・


 やはり、市長給与を超える1200万円の経費負担を行っているこの事業の成果がパッとしないこともあり、私の中では「問題がある」という思いを拭い去れません。昨年度までと同じ人が出向してきていて、やっていることもそんなに大きな差がないのにも関わらず、出向負担金が300万円も高くなっているのは、どうも解せません。
 しかもそれら、募集・選考や契約に関わっているのは、すべて観光振興課職員だけです。
 総務部も関わっていなければ、観光振興課だけで金額を決め、募集して、一人だけ身内が応募してきて、そして契約をしているのは、「出来レース」以外の何物でもないように思います。

 以前も書いたかもしれませんが、私自身、会社経営をしてきて、ビジネスの現場でこの「出来レース」に何度も遭遇してきて煮え湯を飲まされてきた経験があります。こうした行為を公共の事業からなくすことも、私が政治を志した理由の一つです。
 いろいろと考えた末、先日に観光プロデューサーの出向負担金支出に対する住民監査請求を大津市監査事務局へ提出させて頂きました。60日以内に監査委員の皆様から監査意見が出されることになります。
 

大津市議会議員 藤井哲也拝




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