【11月議会一般質問②】大津市の行政評価制度について

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 大津市の新しい総合計画を作るのであれば、このタイミングで「行政評価制度」も見直しがなされるべきです。
 人事評価制度を例に挙げるなら、新しい年度が始まってから後出しジャンケンで人事評価基準を決めるということはないはずです。事業成果を最大化するため、また効率的に限られたスタッフや予算を配分するためには、予め評価制度が固まったうえでスタートしなければなりません。  
 現在の行政評価制度の問題点を挙げるとすれば、
 ・所管課による1次評価の点検作業(及び客観性担保評価)ができていないこと
 ・規定されている「施策評価」が実際には十分になされていないこと
 ・「行政評価結果」がどのように予算編成に活用されているのかが分かりにくいこと
 が挙げられます。




私もこの半年、公共政策大学院で「行政評価制度」を専門的に研究しており、他都市の優れた制度を知るうちに、大津市の行政評価制度について改善の余地がある事に気付きました。
 行政評価は、うまく活用することができれば、総合計画を効率的・効果的に推進することができますし、首長が策定し議会が議決した総合計画の進捗状況を的確・客観性を持って評価できることにつながります。この制度に不備があったり、運用において恣意性が強く見られるようであれば結局のところ、行政評価制度は形骸化し、総合計画の推進は見かけ倒しに終わります。

 なぜ現在、大津市の行政評価制度において、「施策評価」を通じて事業の優先付け(選択と集中)が行われていないのでしょうか? 
 あくまで推測ですが、行政評価をシッカリすればするほど、市長が関与できる裁量範囲が狭まり、予算編成の自由度がなくなると考えているのではないかと思います。
 実は副市長がしっかりしていた目片市政以前では、この施策評価は大津市でしっかり行われていました。越市政になってから施策評価の形骸化が急速に進んでいます。ワンマン市長なだけあって、自分のやりたいように予算編成をしたいのだと思いますし、これまで意見具申してきた多くの幹部職員を左遷していますので、もはや職員は誰もマトモな意見を具申できない空気が存在するように感じられます。
 以前、教育委員会と市長が揉めた時に、「予算権は私にある!」と言って、教育委員会を服従させようとしたこともありましたが、市長にとって行政評価制度は予算権を侵害するものと捉えているのではないでしょうか。

 行政は市長の私物ではありません。行政評価制度は効率的且つ効果的に予算配分するための、最適のツールであり、国や地方問わず、程度の差こそあれ円滑に運用されています。
 また先ほども取り上げましたが、この行政評価制度はうまく使う事が出来れば、客観的に市政を評価できるツールとなりますし、市民に対して適切な情報公開を通じてアカウンタビリティ(説明責任)を果たす役割を持つものです。越市長は1期目、自分の都合の良いようにマニフェスト進捗状況を自己評価して批判を浴びていましたが、行政評価制度をうまく使うことができればそうした批判を減らすこともできるはずです。

 もし大津市行政が行政評価制度を蔑ろしようとするのであれば、議会による「本物の行政評価」を行わなければなりません。
 幸い、今回の質問の後に、市政策調整部から行政評価に関する勉強会について打診を頂きました。より良い行政評価制度の構築とその運用に関して今後議論を行っていきたいと思います。

 以下、一般質問における質疑応答です。


* * *

①施策評価及び事務事業評価の客観性担保について
【質問】藤井哲也
 総合計画の推進には、行政評価と予算編成・事業実施の3つの要素を関連付けた行財政マネジメントを年次的に回していくことが重要であることは言うまでもない。
 本市においても平成13年から事務事業評価の実施を開始し、平成23年には総合計画の効率的な推進を目指して施策評価が導入されてきた。
 今回、4年に1度の総合計画の実行計画を策定するタイミングに合わせて現行の評価制度の見直しも検討されるべきと考え、以下に取り上げたい。
 現状、施策評価及び事務事業評価は、担当部局によって1次評価がなされているが、総括評価会議の意見書からも1次評価結果に対する点検作業に不足があり、客観性担保評価の必要性があったことが分かる。
 国レベルにおいては評価結果の点検作業や客観性担保を総務省が担っているように、本市では施策評価は所管する政策調整部が、事務事業評価については総務部が担うべきと考える。ついては、本市では現在どのように行政評価の点検作業や客観性担保を行っているのかを伺う。

【答弁】総務部長
 本市の行政評価におきましては、まず事業の所管課が評価を行い、さらに所管部局においてその評価や今後の方向性を踏まえ、コメントを記載するまでの過程の中で、各部局で評価の作業を行っております。
 また評価の客観性担保につきましては、事業の目的や目標を明確にしたうえで、実施により得られる成果を数値指標を用いて評価することにより、客観性が担保されているものと考えております。

【再質問】藤井哲也
 2年前の決算委員会で、私自身の質問に対して当時の企画課長が「事務事業の点検作業を行ない、必要があれば調整してもらっている」と述べておられたが、そうした状況から後退しているように思われる。なぜか?

【再答弁】総務部長
 当時どのような答弁だったのかは把握していないが、現時点では各部局において評価を行っている。

②政策調整会議での施策や事務事業の方針確認について
【質問】藤井哲也
 現在の行政評価システムでは、施策は部局間にまたがることから、部局長による施策評価の結果を受けて、政策調整会議の場で今後の方針が決定されることになっている。
 しかし10月の決算常任員会での説明では、「(政策調整会議では)行政評価を行うに当たっての注意事項であるとか、連絡調整といった点が主なものでございまして、方針の確認、事業間の調整といった点につきましては行えておりません。」、「施策評価についても今後検討の余地はある。」と述べられている。
なぜ政策調整会議においてが方針の確認や事業間の調整がなされていないのかその理由を伺う。

【答弁】政策調整部長
 方針の確認等を行うフローを基本的な流れやイメージとして記しているものですが、現在は各部局長の一次評価結果をもって各部局が認識を深め、また主要事業ヒアリングや予算編成を踏まえた二役等との審議の中で、評価結果を踏まえた判断ができているものと考えるものである。

【再質問】藤井哲也
 そもそも予算編成要綱によれば、施策評価を通じた事務事業の優先付けが行われた後に各部局が予算要求してほしい旨が記載されており、予算編成過程は行政評価とは異なるものである。また主要事業ヒアリングも重点事業の進捗管理を行うものであり、例えば、お父さんの小遣いは適正か?という意味での事務事業評価ではなく、家族全員の小遣いを減らすために携帯電話キャリアを統一するなどの工夫を検討するという施策評価を、主要事業ヒアリングの場で出てきているのかと言えば懐疑的である。あらためて見解を問う。

【再答弁】政策調整部長
 予算編成過程を通じて総合的に方針の確認や協議等が行われているとご理解いただきたい。また主要事業ヒアリングではあくまで重点事業の内部進捗管理が行われている。

③総合経営会議(行政評価二次評価会議)の実施について
【質問】藤井哲也
 本市の行財政マネジメントの考えでは、事務事業評価、施策評価の結果を分析し、重点化すべき施策、また、その施策の中でも、重点化すべき事業など、優先順位を示した上で、次年度の予算編成を行うべきと想定されているが、現状では財政課の予算査定段階で予算配分、いわば実質的な二次評価がなされているような状況であり、行政評価の取扱いに問題があるとともに、アカウンタビリティの観点や、庁内分権を図ろうとする観点(政策調整部の存在意義)からも大きな課題であると認識している。
 そこで今回、2役と企画部門、行政改革部門、財政部門の長らによって構成される「総合経営会議」の導入を提案したい。(大分市の行政評価システムを説明 )
 ついては、現在の形骸化してきている行政評価の進め方を改め、総合経営会議において施策と事務事業の2次評価を行い、重点事業ヒアリングも包括して、施策の優先付けを行うように変更すべきと考えるが、見解を伺う。

【答弁】政策調整部長
 新たな総合計画策定を機に、今後の施策評価のあり方については見直しを含めて十分に検討を深めて十分に検討を深めて参りたいと考えております。その中でご提案の内容も参考にするものの、是非については現在申し上げる段階にはありません。


***

 一般質問で提言した大分市の行政評価制度は以下のようなものです。




 現在の大津市は良くも悪くも市長が何事も関与しなければ物事が動きません。
 そのため、現「行政評価制度」は市長・副市長が評価者に入っておらず、また政策調整部による評価もうまく機能していない点を考慮すると、二役(市長・副市長)と政策調整部長、総務部長を中心とする「総合経営会議」を実施し、ここで実質的な「施策評価」や「事業の優先付け」を行う必要があると感じます。その上で、最終的な評価結果を踏まえて所管課が予算要求を行い、財政課が査定を行い、二役(市長・副市長)が予算編成を行うという仕組みがベストな気がします。
 また総合経営会議の前段階として、企画調整課職員や財政課職員などによる評価結果点検チームにより、施策及び事務事業の点検作業と総合経営会議で議論するための素案作りを行うというものです。

 以上、私案は必ずしも正しいものとは思いませんが、より大津市にフィットして、大津市政の推進に貢献できる評価制度を構築しなければならないと思います。
 

大津市議会議員 藤井哲也拝




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