2月議会一般質問解説⑨「女性だけではなく男性や若者も含めた起業支援を!」

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 女性活躍支援―。
 決しては反対ではありませんが、男性が置いてけぼりになっている感を強く受けます。
 ことさら公共が税金を用いて行う事業であれば、女性だけではなく男性も活躍できる事業を心がけるべきだと思います。女性だけではなく男性も笑顔で輝いて働ける社会を目指すべきです。

 私は2003年に起業しました。24歳の若造には信用力もなければ、人脈も十分にありませんでしたので、起業当初は言葉通り辛酸をなめる毎日でした。毎月毎月赤字続きで、どんどん創業資金の300万円が目減りしていきます。赤字幅を少なくするために、最初の2年間は月額8万円の報酬で生活をし、3食カップラーメン(カップラーメンは値段の割にカロリーがあります)の生活をしていました。
 そんなときに助けてくれたのは、頑張る若者を応援しようとする公共性が高い団体の方(京都リサーチパークの方や京都商工会議所の方、京都市の方など)や、同じベンチャー仲間でした。3年目にようやく事業が軌道に乗り始め、4、5年目からは役員報酬も月額20万円程度をもらえるようになりました。
 しかし私は運がいいほうです。起業後3年で70%の会社が廃業すると言われており、10年間残る会社は10%程度しかないとも言われます。私の実感もそのようなものです。起業したのはいいけど、借金で首が回らなくなりある日飛んでしまう同年代の社長や、当初の理念や目的から外れて全く関係ない、グレーな仕事を始める仲間もたくさんいました。起業というのは誰にでもできますが、実際に一定期間でも成功に導ける経営者というのはそんなに多くありません。
 もちろん、起業には失敗がつきものですが、私はそうした失敗が「経験」になるのであれば、それは大変貴重な体験だと思っています。ですので、起業を一括りにして反対するものではなく、どちらかと言えば多くの方に起業を経験してほしいと考えています。多くの人がチャレンジする社会になれば、たとえ失敗した人がいたとしてもきっと寛容になれるはずですし、次のチャレンジを後押ししようという文化も形成されていくのではないかと思います。

 今回の一般質問は、女性だけを対象にした起業支援に異を唱えるものです。女性の活躍支援を否定するものではありません。女性も男性もともに活躍できる社会を実現していきたいと考え、ジェンダーフリーの起業支援への方針転換を行政に迫ったものです。
 行政も答弁においては一定の理解を示し、方針を転換する姿勢をしめしまた。しかしながら、答弁通りに事業執行をするかは、今後よく監視していかなければなりません。以下質疑応答の内容です。


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【質問】藤井哲也
 次年度予算案では、女性起業家ビジネスプランコンテストの開催経費1100万円余りや女性起業家経営スクールの実施経費200万円など女性の起業にフォーカスした予算が計上されている。私も京都起業家学校を卒業して起業した経験者の一人として申し上げると、起業家や起業家マインドを持った人が増えることが、世界中の人の生活がもっと豊かになるための社会イノベーションにつながると考える。
 もう5年ほど前になるが本会議一般質問で、本市独自のビジネスプランコンテストの創設を提案したことがあり、これを受けて大津・草津地域活性化協議会が2013年から始めた「大津・草津地域クリエイティブ事業大賞」が創設され、入賞企業に対するハンズオン体制の強化についても提言してきた。今後も女性、男性問わず、LGBTも含め、ジェンダーを超えて起業する人を応援したいと考えている。そうしたことを前提に以下質問を行う。

(1)女性に限定しようとする理由について
 女性起業家ビジネスプランコンテスト、女性起業家経営スクールにおいて、募集・選考や参加の対象を女性に限定しようとする理由を伺う。
 
(2)女性活躍を支援するビジネスプランコンテストにしては?
 優れたビジネスは多様な価値観を持った人材が融合することで創出されることは言うまでもない。実際には男女混合のチームで起業することも十分に想定される。
 又、本事業の根本的な目的が女性の社会進出や活躍を支援しようというものであるならば、ビジネスプランを考えた起業チーム内に女性がいれば良しとすることや、男性であっても女性活躍を支援するビジネスプランであれば対象者になり得ることが必要に思う。
 ついては、実施にあたっては、女性活躍支援ビジネスプランコンテストにし、女性起業家部門と合わせ、女性活躍につながるビジネスプランであれば男性であっても女性であっても受賞対象となる部門を設けるなどの検討が必要と考えるが、見解を問う。

(3)コンテスト入選企業(起業家)への支援について
 本事業の実施目的は、女性の起業・活躍支援と本市の産業振興であると思われるが、先例を見ても、優れたビジネスプランを発掘できたとしても、実際に起業や当該ビジネスプランの実施に至っているケースは少ないように思われる。
 近隣自治体の事例では、京都商工会議所が府や市と連携して実施している「知恵ビジネスプランコンテスト」や、京都市と京都高度技術研究所が行っている「オスカー企業認定制度」は地域の中核的なベンチャーや中小企業を産学公連携でハンズオン支援できている数少ない成功事例だと思われるが、本市においても、本市産業振興や女性の活躍、ひいては市民のための雇用や税収増につながるのであれば、入賞企業(起業家)に対する支援施策を、従来のインキュベーション支援事業などと整合性を取りながら、体系的・総合的に整備していくべきと考える。
 ついては女性起業支援に関する成果指標と目標とする数値を伺うとともに、その達成のために入賞企業(起業家)に対する支援をどのように行おうとするのか見解を伺う。


【答弁】産業観光部長
 始めに、女性に限定しようとする理由についてでありますが、本市においては、子育て期に当たる30歳代で就業率が低下するM字カーブの谷が深いことから、就労していない女性やボランティア・趣味等で社会参加を求めている女性など、起業につながる可能性の高い女性が潜在的に多いものと考えています。そのため、ビジネスプランコンテストを開催することにより女性起業家の発掘に寄与できるものと考え、女性を対象としているものであります。

 次に、女性活躍を支援するビジネスプランコンテストにしては、についてでありますが、議員お述べの部門も対象に検討をしてまいります。

 最後に、コンテスト入選起業(起業家)への支援についてでありますが、女性起業支援に関する成果目標と目標とする数値については設けておりませんが、今回のビジネスプランコンテストではビジネスプランの募集による女性起業家の発掘だけではなく、受賞者等に対する専門家の伴走支援を行い、事業化に向けた融資等の支援も考えてまいります。
 また、事業化した女性起業家を育成するため、本市の地域ビジネス支援室をはじめ、創業支援事業計画で連携する経済団体や産業支援機関、大学、企業等と連携する予定としています。
 なお、本市において、ビジネスプランコンテストを開催することで、女性の起業に向けた気運の醸成を図って参りたいと考えております。


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 なお「行政がやるとなんでも高い!」という記事でも取り上げたように、今回の女性起業家ビジネスコンテストの実施には、1200万円近くの予算が計上されています。高い!!

 私もかつて京都商工会議所のビジネスモデル推進センターで、認定企業支援や、インキュベーションルームのマネジャーをしていた時代があり、その頃に関わった同様の事業の予算と比べて破格のものであることから、強い違和感を抱いています。
 そもそも今回の事業の目標値はどこにあるのか?予算委員会の場で質疑を行いましたが、数件の表彰を行うという目標が設定されているだけでした。。

 改めてになりますが、市民の貴重な税金を使ってやるにしては成果目標が低すぎることもありますが、完全に市民をなめています。自分が1200万円の資本金を出して同様の事業をしなければならないとなったなら、こんなに適当な企画立案はさすがにないでしょう!
 この事業の執行については注意深く見ていきたいと思います。
 仮に内容や成果が最悪ならば、管理職だけではなく担当者も詰め腹を切ってもらいたいと思っています。


大津市議会議員 藤井哲也拝




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