前回記事では、このまま保育所を増やせば「施設過剰」に陥るということを述べさせて頂きました。とはいえ、喫緊の課題として待機児童対策を進める必要があるため、保育施設増設・保育定員の増加は止めるわけにはいきません。

 それではどうしたらいいのでしょか??

 私としては現時点では、余剰が生じてきている公立幼稚園をこども園(幼保連携施設)へ移行させることで解消するのがベターではないかと考えています。確かに世間一般では、民間保育所を増やす傾向がありますが、その理由は民間保育所であれば国庫補助が充実しており、自治体の支出が少なくて済むからというのが主なものに思います。(しかしながらそれは誤解です。後程説明したいと思います。)

 なぜ公立幼稚園のこども園への移行(もしくは、幼保一体型施設への転換)がベターと考えるのでしょうか。下図の比較表を見て頂く思います。





 評価軸としては、建設時・運営時のコストと、教育・運用の弾力性、配慮を要する児童への対応、保育士の確保しやすさ、将来の統廃合のしやすさとしました。民間園と公立園ともに良いところがあると考えますが、(常勤)保育士の確保しやすさは、現在の保育士争奪合戦が行われている中では短期的には大きなメリットだと感じています。
 また中長期的には、やはり定員減・統廃合がしやすいのではないかと考えます。
 公立園であれば、定員減も実施しやすく、また統廃合に関しても地域の理解を得ることが前提ではありますが、民間同士が合併することはなかなか考えづらいこともあり、公立の方が統廃合しやすいと思います。

 これに加え、誤解されている民間園の方が自治体の負担が少ないというものですが、以下の高市総務大臣の答弁からも公立園・民間園、どちらであっても国が面倒を見ると述べています。

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平成27年3月 参議院総務委員会答弁

国務大臣(高市早苗君) 
 公立保育所に係る施設整備費及び運営費につきましては、三位一体の改革による税源移譲に併せて、地方公共団体が自らその責任に基づき設置していることに鑑みまして、国庫補助金等が一般財源化され、全額が地方負担となっております。現在、公立保育所の施設整備費につきましては、この一般財源化に係る地方債や社会福祉施設整備事業債の対象としております。
 具体的には、従来の国庫補助金の補助率が2分の1であったことに鑑み、事業費のうち50%を一般財源化に係る地方債の対象とし、その元利償還金について、事業費補正により70%、単位費用により30%、合わせて100%を地方交付税で措置すると。それとともに、残りの50%のうち80%を社会福祉施設整備事業債の対象としております。 
 また、公立保育所の運営費につきましては、国庫負担金の一般財源化に伴い、地方交付税の算定に当たって、従来の国庫負担金分も含めた地方負担の全額について基準財政需要額に適切に措置されるよう、各市町村の実際の公立保育所の入所児童数に応じた補正を行っております。
 ですから、公立保育所の施設整備費及び運営費につきましては、国庫補助金の一般財源化による影響が生じないように、適切な地方財政措置を講じているところであります。

国務大臣(高市早苗君) 
 いや、先ほどからどうしても公立保育所というスタンスでお話があるんですけれども、これはもう各市町村が保育の実施義務を果たすに当たって、民間の事業者を活用するか、自ら直接運営するかというのは、もうそれぞれの地域の実情や事情を総合的に勘案した上で保育の供給体制について判断をしていかれるものだと思うんですね。
 どうしても公立でということでしたら、先ほどお答えしたとおり、国庫補助金の一般財源化による影響が生じないように適切な財政措置を講じております。

国務大臣(高市早苗君)
 もう先程来の繰り返しになりますけれども、やはり民間の事業者を活用するか、自らが直接運営するかを含めて、それぞれの地域の実情に応じて判断されるものですから、国として、総務省として何か目標設定をするということにはなじまないと考えています。
 ただし、市町村が公立保育所によって受皿を確保しますと判断された場合には、その整備費用については、施設整備に対する地方債に加えまして、市町村の判断により一定の要件の下で平成27年度から新たに創設する集約化、複合化、転用に係る地方債、また過疎地域においては過疎対策事業債の活用が可能になります。

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 以上引用です。結局のところ、施設運営に関しては、民間の場合は補助金で、公立の場合は交付税で措置されることになっており、市の負担分はほとんど変わらないと思います。
 建設費については民間は国・県が大半を見てくれる一方、公立園は半分が交付税措置で残り半分が事業債や交付税措置がある公共施設の老朽化対策や防災減災の事業債を活用して、市負担額を圧縮することが可能です。公立園の場合は既設の公立幼稚園を転用することを想定すれば、新設よりもかなり低予算で保育施設の定員を増やすことができる事から、最終的には市負担額は民間園設置とそんなに変わらない額になるのではないかと思います。

 以上述べてきましたが、トータルで考えると、私は公立幼稚園のこども園(又は幼保一体化施設)への改修による、保育施設の増設の選択肢も検討すべきだと思います。
 というか、これまで大津市では瀬田南幼稚園・保育園一体化施設や、山中比叡平幼稚園保育園の施設などで、そうした実績を作ってきています。計画的に進めていけば、問題なく施設改修はできるわけです。

 大津市では、この度、幼稚園教諭資格と保育士資格を併せ持った職員の、人事給与表の作成を当面中止すると決定しました。これはつまり、公立の幼保一体型施設を当面の間つくらないことが前提です。なぜこの段階でそのような決定をしたのでしょうか。

 今回、様々な角度から大津市の保育政策について考えてきましたが、一つ言えるのは、大津市行政にビジョンが見えないということです。ここ数年の間だけを見て、アタフタと動いているだけではないかと感じています。施設過剰が生じたら、公立保育園の定員減・統廃合で切り抜けようというのは分かりますが、それでカバーできるのはあと10年くらいかもしれません。20年、30年先を見据えて、その時点においても安定した保育を市全域で提供していくためには、もう少しの真剣な検討が求められると考えます。


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質問(藤井哲也)※太字
答弁(福祉子ども部長)

❶なぜ公立保育園ではなく民間保育園を増やすのか?
 そもそもの質問であるが、本当に必要ならば公立保育園を新設する選択肢も考えられるが、公立保育園ではなく、民間保育園により量的拡大を行おうとしている理由を伺う。
 

 保育サービスの量的拡大についてのうち、保育サービスの量的拡大の方法について、なぜ公立保育園ではなく民間保育園による量的拡大を行うかについてでありますが、本市の財政支出のうち保育に係る民生費が増加している状況の中、運営費が全額市負担となる公立保育園を新設することが困難であることから、保育ニーズに対応した量的拡大は民間保育園としているところでございます。 

❷保育所の新規設置運営法人の応募が少ない要因について
 保育サービスの量的拡大を行おうとしているが、現状では新規設置運営法人の応募が少ない。その要因をどのように分析しているかを伺う。


 保育サービスの量的拡大に関する喫緊の課題についてのうち、保育所の新規設置運営法人の募集に関し、応募が少ない要因についてですが、公募を契機として保育所設置を検討する場合、事業者においては、待機児童が多く確実な保育需要が見込まれる大都市の募集からまず検討される傾向があり、また、全国的に保育士や保育所用地の確保が困難となっている状況下においては、保育所を広域的に設置運営するノウハウや資金力を有していなければ、これらの状況に対応し、保育所を新設することが実質的には困難となっているため、応募事業者となり得るハードルが高まっている結果によるものと分析いたしております。



大津市議会議員 藤井哲也拝