【一般質問解説⑦】 競輪場跡地活用の事業者選定委員会について

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 長年、塩漬けにされてきた競輪場跡地。
 現在は使われていない施設内を昨年7月に視察しました。
 ↗当時のブログはこちら

 この数か月間、跡地活用を行う事業者を選定するための委員会が設置され、検討が進められてきましたが、改めてその委員会を取り上げる中で、現在の市政課題を浮き彫りにしたいと考え、この問題を取り上げることにしました。

 行政における附属機関の問題点としては、「自治体コモンズ」というサイトにある程度詳しく記載がありますので、そちらに纏められている点は以下の通りです。
① 執行機関の判断を追認する御用機関である。
② 執行機関の責任を転嫁するための隠れ蓑である。
③ 議会審議を先取りし議会を形骸化させるものである(住民の意見を聴いたという実績づくり)。
④ 附属機関の要件を満たしているにもかかわらず、「条例」で設置していない。

 大津市では、当に執行機関の責任を転嫁するための隠れみの、又は執行機関の判断を追認する御用機関としての「附属機関」の態であり、まことに情けない限りです。
 今回の競輪場跡地活用事業者選定委員会は、象徴的な第三者機関(笑)であったため、改めてこの問題を取り上げました。私自身の問題意識については以前ブログに纏めていますので、そちらをご参照くださいませ。
 ↗私の問題意識についての記事

 以下が本会議でのやり取りです。
 いい加減、こうした茶番はやめにして欲しいです。

 * * *

質問者:藤井哲也(※太字)
答弁者:産業観光部長及び総務部長


 昨年3月に策定された、大津びわこ競輪場跡地利活用における民間活力導入の基本的な方針に基づき、現在、大津びわこ競輪場跡地公募提案型貸付事業者の選定作業が附属機関である選定委員会で進められている。
 この間の議会での質疑応答を通じて、当該地は災害時の拠点となる中消防署の移転先の有力な候補地の一つであると認識しており、そうしたことも念頭に入れた選定作業が進められることを期待するところである。
 さて、大津びわこ競輪場跡地公募提案型貸付事業者選定委員会であるが、その委員構成等において幾つかの違和感を覚えており、今後の本市附属機関の委員選任において改善がなされることを願い、数点質問を行う。

❶委員定数の過半数を占める市職員について
 5人の委員の構成は、弁護士の前田氏と公認会計士の木田氏の他、井村副市長と中野政策調整部長、玉井未来まちづくり部長であるが、5人のうち3人が市職員であるのは異例と思われる。過半数の市職員が入っていることは、実質的に行政の判断責任の隠れ蓑にしているだけではないかとの強い疑念を感じている。なぜ委員の過半数を市職員が占めているのか、その理由を伺う。

❷越市長の出身事務所所属者が委員長を務めていることについて
 また委員長に互選された前田博氏は、越市長の出身事務所の西村あさひ法律事務所に所属している弁護士であり市長とも在籍時期が重なっている。委員長という立場であれば、市長と結託し、又は意向を忖度するなどして、業者選定をリードすることもありうると考える。世の中に弁護士はたくさんいるので、わざわざ市長の出身事務所の方を起用しなくとも問題ないと考えるし、誤解を招くようなことは避けるべきと考えるが見解を伺う。

❸新任の井村副市長が副委員長を務めていることについて
 副委員長には井村久行副市長が就いている。井村副市長はこの4月に国交省から本市に赴任してきたばかりであり、市政課題を把握している段階であろうし、地域の歴史や風土についてもまだ不慣れだと考える。
 なぜ井村副市長を委員に選定したのかを伺う。


❶「指針」の見直しを求めることについて
 本市の「附属機関等の設置及び運営に関する指針」の「委員の選任基準」では、「方針又は審査の決定に関し、本市の考え方、意見等を反映する必要があると認められる場合」には、市職員が委員になることができると規定されているが、他市の同様の指針を確認しても、大津市のような規程はほとんど見られなかった。
 附属機関に本来期待される役割は、市民や学識経験者がそれぞれの立場から議論を行い答申を行うことであり、市長の部下が5人中3人も入って、一緒に議論を行うことは、本来、期待される役割からは遠いものと考えるし、ましてや行政自らの考え方や意見などを市長に向けた答申に反映しようとすることは、附属機関の形骸化につながるものではないだろうか。
 仮に行政の考えや意見を伝える必要があるならば、事務局を担う所管課が、資料を提出し補足説明を行うなどすれば事足りるわけで、市長に対する答申を議論する場に副市長や部長が入っていることは、まさにヤラセ疑惑を生じさせるものであり、政治や行政に対する不信感をいっそう助長するものではないかと考える。
 したがって、当該指針は改められるべきと考えるが、見解を伺う。



A 産業観光部長
 「大津びわこ競輪場跡地公募提案型貸付事業者選定委員会」に対する違和感についてのうち、なぜ委員の過半数を市職員が占めているのかについてですが、当事業は、利活用事業者の提案により、周辺地域との一体性を確保し、市民意見や市民ニーズ等を踏まえた多目的広場の整備や利活用事業を実現する必要があることから、提案と本市まちづくりとの整合性を審査するために3名の行政委員を委員に委嘱したものです。
 次に、2点目の弁護士の選任につきましては、当委員会の委員長は、わが国の公共事業における民間資金やノウハウを活用するPFI事業に関し、この分野における第一人者であり、「PFI法」の施行と同時に内閣府により設置された「PFI推進委員会」の委員にも長らく就任されたご経験をお持ちです。また、「民間資金等活用事業推進委員会」や「準天頂衛星システムPFI検討有識者委員会」「独立行政法人評価委員会」等、国及び地方自治体のPFI・PPP事業等に関する多くの委員に就任されており、公共事業における民間資金や民間ノウハウの活用に関して、わが国の法務部門における数少ない専門家であると認識しております。今回、こうした経験や法務的な見地を有する専門委員として、委員の就任を依頼したものであり、当事業を実施するにあたり適切な委員の選定であると認識しております。
 また、井村副市長につきましては、国において多くの公園事業の経験を有し、その見識が高く、当事業についても前任の伊藤副市長から詳細な引継ぎがなされております。さらに事業に関するヒアリングや協議及び現地確認を十分に実施されており、その際には当事業に関しても数多くの助言・指示を頂いており、適切な委員選定であると考えております。 

A 総務部長
 「大津市附属機関等の設置及び運営に関する指針」における委員の選任基準においては、市職員を選任する場合を限定し、「法令等の規定に基づき特定の者を充てることとされている場合」「専門的知識、資格、経験等を有し、又は本市の状況を詳細に把握する職員を充てる必要があると認められる場合」「方針又は審査の決定に関し、本市の考え方、意見等を反映する必要があると認められる場合」のみ選任可能としております。
市職員が附属機関の委員に入ることは、交通安全対策基本法、災害対策基本法等、法令においても要請されていることから、当該指針を見直すことは考えておりません。
今後とも、附属機関が適切に設置し運営されるよう、努めてまいります。


【再問】藤井
 まず総務部長の方からですけれども、完全に私は附属機関の趣旨から言っておかしいと。今回のこれ、一時事例でありますけれども、そもそも大津市みたいにこういう除外事項と言いますか、こういう場合は市職員を入れてもいいみたいな規定が入っていますけれども、委員の選任基準の中の三つ目、先ほど申し上げたところですけれども、こういう文言が入った市町というのは、私が見た限り、皆無なんですよ。大津市だけですよね。もしあったとしてもごく稀なケースなのかなあと思うんですよ。
 これ本来、附属機関というものはどういう性質のものなのか、多くの自治体において共通認識があるからだと私は考えているんですけれども、そうしたところからいいましたら、先ほどおっしゃられましたように、確かに詳細があるものについては否定しませんけれども、今回のこのような委員会の設置、委員の選任が行われるというのは、私は市民をバカにしている、最終決定するのは市長じゃないですか、附属機関については、審議していただく場だと思うんですけれども、そういったところに市職員が3人も入って、しかも市長が知っている弁護士が入っていると、これ完全に隠れ蓑ですよ、御用機関ですね。こんなことがあってはいけないですよ。なので私は改定を求めますけれども、改めまして見解をお伺いします。

 それと産業観光部長からご答弁頂きましたけれども、市の考え方などを反映していく必要があるというふうなことなんですけれども、5人中3人もいる必要ないなあと思ってまして、これ完全に誤解を招いてますよ。政策調整部長はなぜ必要なのか、玉井未来まちづくり部長が入ってらっしゃる理由も教えていただきたいと思います。そもそも最初の質問でなぜ過半数、5人中3人も市職員が入っているのか、これおかしいんじゃないですかと言ってますので、それについてのご答弁をよろしくお願いします。
 また、前田弁護士ですね、私もホームページ等で拝見いたしましたけれども、確かに第一人者かとは思いますけれども、他にもPFIの委員をされている先生もいらっしゃるので、わざわざ市長のお知り合いの方を連れてきていただいて、充てるということは、これまたさっき言ったんですけれども、政治行政に対する不信を招く一因だと私は思います。なぜこのような方を連れてこられたのか、他にもいらっしゃるじゃないですか。そこら辺の理由についてもお伺いしたいと思います。先程の市職員の3人の選任理由については、それぞれ副市長も込みですね、玉井部長と中野部長、それぞれなぜ入っておられるのか、教えていただきたいと思います。


A 上野総務部長(コンプライアンス推進室)
 指針を見直さない、附属機関の中に職員が入っている考え方について改めてお答えしたいと思います。現在の指針については、平成24年度にそれまでの関係の選任基準等々を精査し、そこでしっかり議論したものでございます。まず他の自治体で皆無と言いますと、議員おっしゃるとおりレアなケースではありますけれども、私の手元にもありますけれども、松戸市の中で市職員の選任についての必要と認められた場合に限り、事業の推進等の協議や検討を目的とする附属機関もあり、このような附属機関においては市職員が委員として参加している方が適当であるなど、ということで一定、基準を設けている自治体もございます。二点目は、先程申し上げたとおり法令の設置の自治体に認められている附属機関においても、職員が要請されているのは同様の趣旨であるというように考えております。 
 それともう一点、地方自治法の解説の中にございます文言をちょっとご紹介させていただきますと、単に執行機関の補助機関内部における事務執行手続きの一方法として理解すると得るとする、これが本来、職員だけで構成する場合の内部の検討やと思うんですけれども、例えば重要事項について検討するためによく設けられている部課長会議のようなものに相当するものと解されるものだが、しかしながらそれに執行機関の補助職員以外の外部の者、委員あるいは構成員として加わるときは、それはもはや組織として理解されるべきで、その設置については附属機関として地方自治法138条4第3規定により条例で定めなければならない。

副議長
 部長、答弁は簡潔に。

A 総務部長
 はい、地方自治法の解説の中にも、市職員と外部のこういった識者が入った場合も附属機関と条例で設置すべきという規定・解説があります。こういったことから、我々の指針の中に職員が限定的に入ることについては、一定合理的な説明がつくものと考えておりますが、運用については限定的にしっかりとそこはやってまいりたいと考えております。

A 産業観光部長
 まず職員がどのように選任されたかということでありますけれども、政策調整部長につきましては、従来からこの案件つきまして、あり方検討委員会、これが政策調整部の方で検討され、一番中身をご存知である。あるいは特別委員会でもこの件を政策調整部の方で扱っていただいていたということで選任させていただいております。未来まちづくり部長につきましては、中に求めるものが多目的広場、公園ということで入っていただいている。副市長につきましても、同様に公園ということもございますが、市全般の統括という意味で、入っていただいているということでございます。
 それから、弁護士の選任につきましては、前田委員につきましては、先程申し上げましたとおり、国がPFI法の制定の検討を進める際から、専門委員として関与されておられますし、また国や地方自治体が実施するPPPやPFI事業の選定についても、全国的に数多く手掛けられている。こうしたことや弁護士という職業からも疑念を抱かれるような審査は決してされていないというふうに考えております。


 以上が質疑になります。
 なお後日談として、私の質問後すぐに総務部内で会議が開催され、今後は附属機関の設置にあたって市職員が過半数入るようなことが無いように徹底する旨の指示が出されました。
 私の質問が、少しでも市政改善につながるとすれば、たとえ誰も見ていないとしても、質問をした価値があったものだと思っています。

 なお先日(8月中旬)に当該、選定委員会により大和リース㈱を選定する旨の答申が市長になされ、8月中に基本協定の締結がなされることが議会に報告されました。BRANCH大津(仮称)という施設で、次回市議選直後で市長選の半年前にあたる2019年6月という時期に完成予定とされます。



 ↗優先交渉事業者の提案概要
 ↗提案3社の評価まとめ


大津市議会議員 藤井テツ拝






 

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