「外部の第三者調査委員会」、私が考える疑問点【1】

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こんばんは。
滋賀県の大津市議会議員、藤井哲也です。

市議会では、「いじめ防止条例(仮)」の12月制定に向けて動き始めました。先日7月20日に第1回会合があり、今後のスケジュールと方向性について協議し、7月31日午前に第2回目の政策検討会議が開催され、大学教授に少年を取り巻くいじめの状況についてレクチャーを頂き、更に条例化に向けて内容を詰めていくことになります。
政策検討会議の一メンバーとして、十分に知識を得て、真剣に議論に加わっていきます。



ところで、報道を通じて市長からは「外部の第三者調査委員会」を設置して、そちらで徹底した調査を行っていくということを見聞きします。
この「調査委員会」は市長部局(総務部コンプライアンス推進室?)に置かれるということで、いずれ私が所属する「市議会・総務常任委員会」も開催され一連の報告を受けられると思います。25日には教育委員会を担当する「市議会・教育厚生常任委員会」が開催されますので、そちらでもいろいろと情報提供がなされると思いますが、まずこの調査委員会というものがどういうものなのか、わからない状況です。

分からない状況ではありますが、私なりに感じた疑問点を洗い出したいと思います。



【問題点1】 「専門委員」は市長の私的諮問委員の集まりと言える。市長や市長部局が調査内容や進め方について自由にコントロールできる。


地方自治法 第百七十四条  
1 普通地方公共団体は、常設又は臨時の専門委員を置くことができる。
2 専門委員は、専門の学識経験を有する者の中から、普通地方公共団体の長がこれを選任する。



地方自治法では、公共団体(大津市等)に専門委員を置くことができるとしています。
これは「委員」であって、「委員会」ではありません。つまり、組織ではなく、委員一人ひとりが公共団体の長(市長等)が選任するもので、調査結果に対する委員の責任があいまいです。

この「専門委員」は、議会の承認を得ることなく、市長が「規則」によって自由に設置し自由に人選し自由に調査事項を決定することができます。
そうしたことから、専門委員は市長の私的諮問機関的要素を色濃く持っているとされています。



(「専門員による調査会」と「付属機関としての調査委員会」との違い)


一つ目の疑問点は、今回の訴訟において市(市長)も当事者である中で、市長の私的諮問機関的組織ともいえる「専門委員」がしっかりとした調査をできるのかどうかです。

報道で知る限り、今回の調査委員会の設置目的は、「市教育委員会のアンケートが不十分だったため追加の調査によっていじめと自殺との因果関係を明らかにしたい」という趣旨のものと理解しています。

果たして本当に、学校と市教育委員会だけがアンケート調査に関わっていたのか?アンケート結果の報告を市(市長)も実は知っており、一緒になって遺族側へ情報隠蔽を行ったのではないか?との疑念を私は払拭できずにいます。
市長も元弁護士ならば、裁判の「答弁書」の位置づけは当然知っているはずです。その内容を市長が知らずして顧問弁護士が勝手に作成しているはずがありません。アンケート結果を知った上で、(追加調査の必要性がないことも認識もしくは黙認した上で)、「答弁書」(何時何分にいじめを目撃したか等の内容)を裁判所へ提出しているはずです。

いってみれば、市長も「隠蔽の片棒」を担いでいるのではないかという疑念を持たざるをえません。
私からすれば、今回設置しようとしている調査委員会は、“外部”の“第三者”委員会ではなく、当事者である市長の私的諮問機関としての「外部の専門家を集めた、市役所内部の専門委員」と言えますので、市(市長)にとって都合の悪い情報はやはり隠蔽するのではないか?どうしても、そう思ってしまいます。

遺族側も、市教委の体質や、大津市の一連の対応について不信感の抱いておられるため市長の謝罪をこの段階では受け入れていないわけですし、単に「いじめと自殺との因果関係」だけではなく、「市教委と市がどのようにアンケートを行い、情報隠ぺいを行ってきたのか」を明らかにすることによって遺族側が持たれている不信感をぬぐえるのだと思います。


ここは、地方自治法第174条の「専門委員」の制度を使って調査するのではなく、同法第202条の2の「附属機関」の制度を使って調査委員会を立ち上げて、そこでいじめと自殺との因果関係のみならず、市長や教育委員会がどのように意思決定し、情報公開に及んだのか、その体質そのものについても調査した方が真相究明につながるのではと思います。


【2】へ続く。




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